上陸【8日目】阿蘇高岳(断念)→祖母山→道の駅竹田

2017:南九州登山 車中泊の旅登山

5時半起床。


↑よし、天気は良さそうだ!

今日は登るぞ!
明日からまた天気が微妙なので、晴天予報の今日一日をフルに使う。
午前中に阿蘇、午後は九重まで行こうというなかなか詰まったプランです。
天気の良い時に登りたいからねぇ(*’∀’)=3
おにぎり2つ食べて、しっかり準備体操をしたら出発!


↑雲一つ無い、素晴らしい!今日も良い登山日になりそうだ!

昨日下見した仙酔峡登山口まで車でツイーっと走っていきます。
まだ一台も停まっていない崩落現場の所に車を停めたら、6時半、登山開始!

白い建物のあたりは完全な舗装路。
緩い坂道を登っていくと、なんだろ…なんか身体の調子がおかしい。
これからという時におかしいな(;´Д`)
歩幅とペース、呼吸に気をつけようと、登山道の手前で一呼吸置く。

ロープウェー乗り場の隣から橋を渡り、いよいよ登山道へ。


↑おおお

落石はこのくらいで、登山道に目立った破損は見られず。


↑階段を上り終えると、木々の間の細い道に。

やっぱりあんまり人が通らなくなってるのかな?
この後もっと細くなって、枝や木が身体に刺さる刺さる(;´Д`)
道も見失うので24さんの後を必死で追いかける。

ちなみに今日は24さんが先頭です。
24さんも初めての山なので、昨日までとは緊張感が違う。


↑しかしすぐに開けて、見通しの良い岩場に。

ひたすら直登みたいな高岳山頂への最短ルートなので、最初からがっつり坂道です。
なんせ1時間半で登れちゃうルートなのだから当然なのだが、結構しんどいかもなこれ。

……グスグス(;´Д`) なんや鼻水が止まらん…ゲホ
しょうこさん、ネックウォーマー持ってきた?
持ってきたー
した方がええで。そんで口元覆うようにしい

振り返った24さん、すでにネックウォーマーで顔を覆っている。
耳の上までネックウォーマーあげてるので、目元しか見えない…強盗犯みたいになっとる。

右側見てみ、中岳のガスがこっちに流れてきょる
あーーーそれで私さっきから鼻水出とるのか!
咳しとるのもそのせいやろ
なんか身体がうまく動かんなぁと思ってたんよ
今日はハードな登山になりそうや

口元を覆うものの、慣れてないので息苦しいし、
鼻水止まってないから完全に覆えないし余計つらい。
なんか目も痛いし…

し……しんどい…(;´Д`)


↑見通しはめちゃくちゃ良くて、後ろはこんな感じ。

木々のエリアを抜け、背の低い草のエリアを抜けると、目指す山頂へは岩しか見えなくなる。


↑さぁゴロゴロとした岩場が続きますよ!

徐々に風が強くなり、24さんとの会話も途絶える。
遮蔽物が何もない吹きっ晒しで、風の勢いはますます強まる。
右から来る風に飛ばされないよう、岩に張り付きながら登るような状態に。

危ないと思ったらしゃがむんやでー!
はーい!(危ないと思った時には吹っ飛ばされとるだろうなぁ)

私こんなに風が強い登山初めてだわ…
先日の高千穂峰もすごい風だったけどふらつく感じで、ふらふらして道から外れそうという感じ。
そんな可愛いもんじゃない。ふらつくなんて可愛いわ。今は吹っ飛ばされそう。
ふっと身体が浮いて道から落ちるイメージが容易に想像できる。そのくらいの強風だ。
しかもここは尾根道。左側は崖。右も崖。
腰くらいの大きさの岩に掴まりつつ、身体隠しつつ進む感じ。

地面から顔をあげたら、先を進む24さんの位置を確認。
風の収まるのを見計らってささっと立ち上がり進む、すぐしゃがむか隠れる。
顔をあげると24さんがいない。周囲を探すとすでに先に進んでる。むしろ離れてない…?

 焦 る (;´Д`)

写真撮ってる余裕?あるわけないでしょ(´;ω;`)ブワッ
てわけで全然写真が無いんだけども、いやもう手足全部使って必死に登ってたよ私。
鼻水が真横に吹っ飛んでいったし、足元の小石も転がるというか横に流れていく。

時々24さんが大きな岩の所で待っててくれるので、必死こいて追い付いてはちょっとお茶飲んだり。
でもね、手を離した瞬間に色々な物が吹っ飛んでいきそうで、
ペットボトルの蓋外すのもやけに緊張する。

今日は九重は止めよう
そうやね
阿蘇に集中しないと危ない
うん

だいぶ登って来た!振り返る景色はたまらなく綺麗なのだが、
いかんせん、恐ろしい風でな…!
写真だけみるとめちゃくちゃ良い登山日和なのに!!

言葉少なに休憩を取っていると、真面目な顔で24さんが提案する。

荷物をここに置いていこうか
えっ…なんでなん
どうせ帰りも通るやろ。荷物を置いて身一つになった方がいいかもしれん
それって食料も全部置いていくって事?
せや。どうせこの風じゃ山頂で何もできひん
でも……危なくない?万が一があったら、丸腰ってことでしょ?

右側から真横に強風が吹いてて、ザックが風にあおられて危ないのもわかる。怖い思いもしてた。
荷物無かったらもっと楽に進めるかもしれないというのは、わかる。わかるけど…

直接的な表現はしなかったけれど、滑落の可能性を考えてたので、この提案はとても怖かった。
24さんの後ろ姿を追いかけて登ってきて、
ずっと思ってた一番の恐怖は「もし24さんが落ちたらどうしよう」だった。
もし私が落ちても、24さんがきっと適切な指示を出してくれるだろし、
少なくとも24さんは無事に下山できるだろう。
でも24さんが落ちたら、私はきっと24さんを助けられない。

24さんはしばらく黙って考えていたが、結局ザックは降ろさず背負っていくことに。


↑まだ右側に岩があるので、なんとか風除けになってくれている。カメラ構えられるくらいには。

しかし、右手の岩が切れた地点で24さんが再び立ち止まっていた。
24さんが落ちない事だけを念じながら追い付いた私は、風の中でもはっきりとその決断を聞いた。

やめよう

このまま登ったら山に殺される

山頂までおそらく、あと30分。
24さんにはどこが山頂かわかっていただろう。見えていたに違いない。
去年も登れず、今年再び挑戦しに来て、崩落を乗り越えてやっとここまで来たのに、
雲一つ無い最高の天気なのに、ただ風が強いという、たったそれだけで。

写真だけを見たら、なぜここで止めたのかわからないくらいの絶好の登山日和だろう。
でもこの時はもう限界だった。
身体が吹っ飛びそうなほどの風に耐えて耐えて、岩陰に隠れるようにじりじりと登って来た。

ここからは風を遮る岩が無い。吹きっ晒しの尾根を歩かなければならない。
文字通り真横から叩きつける強風に耐え続けられるだろうか。

今回は、ここをオレらの山頂としよう
うん
山神様がまだ早いって言っとるんや
うん
大丈夫、山は逃げへん。また来たらええで
うん

ほっとしたような、残念なような、なんだか複雑な感情で私はろくに喋っていなかったと思う。
やっぱり登りたかったし、ここまで必死に登ってきたから最後まで登りたかったし、
でもこれ以上無理したら取り返しのつかない悲しい事が起きてしまうかもしれないのもわかってたし、
それがずっと怖いと思いながら登ってたから、すごいほっとしたのもある。

しょうこさん、登れなくて泣いてる写真撮ろうか(^ω^)

24さんの方が色々と複雑なんじゃないかと思ったのに、
下山を決めてからはいつもの登山みたいに励ましてくれて、
ここが今日の山頂だからって写真を撮ろうと提案してくれた。


↑あとちょっとだったんだけど!

下界を見渡すと、いやぁ~~~最高ですよ!


↑外輪山がずーーーーーーーっと続いているのが見える。


↑外輪山の奥に九重山!軍艦みたいで格好いい!

登山開始から1時間15分、下山します。

8時半、無事に車の場所まで戻ると安心感に包まれる。

あー戻ってきたね。ほっとする
まだやで。車で下におりるまでに土砂崩れがあったら同じ事や
そっか、道の駅に戻るまでが登山ですね


↑9時、道の駅・阿蘇でプリン食べつつ、ようやっとほっとする。生きて帰れてよかったー(*´Д`*)

さて、どうしようか。だってまだ9時。
何も無い日は今ごろ動き出す時間ですよ。

当初予定していた九重山に行こうか考えるものの、
24さんいわく山頂は岩場だから、今日の風の強さだと駄目かもしれない。
逆に、今回はご縁が無いかと諦めかけていた祖母山の方なら、
山頂までずっと森の中だから風の影響は少ないだろう。
昨日までの雨で登山道がグチャグチャかもしれないが、祖母に登っておけば、
九重は後回しにしても大分港から戻ってアタックする選択肢もあるからね。
後日の晴天を信じて九重を後回しにするか、今しかないと九重に向かうか。

悩んだ結果、風の洗礼を散々受けた私は完全にビビって、風の恐れが無い祖母山に向かう事に。
汚れてもいいように短パンで行こっかなー(*´ェ`*)


↑さようなら阿蘇!また来るからね!


↑ビロードのような黄金の丘を撮りたかったが失敗した図。

道を知っている24さんの運転で、
未舗装路や一台通るので一杯一杯な細い峠道を奥へ奥へと進んでいく。
車も人の気配も無い。この道の先に本当に登山道があるのかしら…と不安になる道だわ。

11時、祖母山登山口へ到着。
地元民しか使わないような道を走って着いた先には、思ったよりたくさんの車が停まっていた。


↑北谷登山口。

風穴のルートが最短距離だがちょっと難しいルートらしいので、
国見峠なんかを経由するルートへ。コースタイムは大体3時間かな?

登山道はずっと林の中。ほとんど展望は無く、国見峠に出てやっと目指している祖母山が見えた。

その後もずっと林の中で、特に見晴らしの良い場所も無く、
気付いたら山頂に着いていたというパターン。

ひたすら林の中って感じで、ゆるやかな登り道。
阿蘇の強風と急登にやられてた我々は、
風が無い事をこれほど有り難く思うかってくらい感謝しながら進む。
一昨日の土砂降りが響いているかと思ったけれど、
予想してたよりも地面は乾いてて、歩きにくいという事もない。
日差しがほとんど入らないので、雨の翌日なんかはグチャグチャになりそうだけど、
今日はその林のおかげで風が優しい風になってて快適に登れる。

自然って怖いけど、優しいね…(´;ω;`)グスッ


↑13時、祖母山(1756.4m)登頂!


↑山深い山ですね~登山客も少なくて、自然に包まれてる感じが気持ち良いなぁ。


↑九重山かな


↑特徴的な根子岳ですぐわかる。阿蘇ですね


↑靴はそこまで汚れなくて済んだよ。

お昼ご飯を食べたらちょっと休憩。
阿蘇の恐ろしい風が嘘のようで、山頂なのに爽やかな優しい風。
日向ぼっこしながら横になってたらいつの間にか寝ていた。
1時間程2人して爆睡。いやぁ精神的にも肉体的にもどっと疲れが出たんでしょう。

それでは下山しましょう。
登山口に戻ったら、8台程あった車は1台を残していなくなっていた。
あんまりすれ違わなかった事を考えると、風穴ルートを通ってる人が多いのかな?

16時に下山完了。
今日いく温泉は決めてますので、阿蘇へ戻ります!
道中、右前方から荷物満載の自転車が走ってくるのが見えた。一目ですぐわかる、旅チャリダーだ!

24さん、チャリダー来る!
マジかいっ

運転中の24さんがすれ違いざまにクラクション&窓全開にして腕を振る。
24さんの行動が素早過ぎて、絶対イメトレしてたと思う(*´ェ`*)
私も助手席から全力で手を振る。

若い子だ。絶対旅チャリだね
日本一周看板かかってたで
ほんまかー!嬉しいなァ。なんか向こうはすごいキョトン顔してたけど
まだ旅出始めたばっかなんやろな。最初はオレもそうやったで
え?オレ?みたいな?
せや。バイクの人とか車の人が、自転車のオレに手を振るなんて思わなくて、最初全部無視しとったで
自分だとは思わんよなぁ
今の子もそのうち気付くやろう。そんで『あーあの時の神戸ナンバーは…』って思い出してくれるで

車から応援してくれる人の気持ちってこんな感じなのかなぁ?
それとも我々が経験したからこんな気持ちなのかなぁ?
わからないけど、すれ違うのなんて一瞬だけど、
この瞬間の2人はすごいテンション高かった。
そしてめちゃくちゃ応援したい!頑張れ!!

そういやさぁ、阿蘇であんなに風強かったのに、よくサングラス飛んでいかなかったよね
そりゃ、ゴソゴソしとったら飛んでくやろな
ゴソゴソ?なんそれブカブカって事?
ええっ、ゴソゴソて言わん?

時々24さんの方言がわからん時がある。
本人は訛ってないつもりらしいけど、私はただのエセで根っからの関東人なので、
24さんはわかりやすいぐらいに訛ってる。ホント第一声ですぐにわかる。
逆パターン無いのか聞いたら、基本的に意味は通じるから気にならないらしい。
ていうか、私のエセ関西弁も違和感無く聞いてたようで、関西の子かと思ったとか…嘘やろ(;´Д`)
「あるってく(歩いて行く)」も普通に通じてしなぁ…。
訛りに憧れる私としては「つまらん」の一言である(´・ω・`)


↑17時、月廻温泉(500)

ここは昨日通った時に目をつけていたんですよね!昨日定休日だったので…。
なんせここの露天風呂からは…


↑阿蘇と根子岳!

24さんの男湯は阿蘇も根子岳もまる見えだったらしいけど、
女湯は植木とかいろいろ目隠しが多くて、湯船浸かったまま絶景というわけにはいかなかったわ。
まぁ、ここは外から丸見えだろうしねぇ…(´・ω・`)


↑でも女湯からは根子岳が目の前でした。面白い形してるなぁ!


↑日が落ちる。よく考えたら今日は濃かった…。


↑中岳からは噴煙があがる。

そこから1時間かけて道の駅・竹田へ。
トイレも綺麗だし、他に車も見当たらない。
24さんは去年泊まっているので安心ですし。
ていうか24さんはほとんど去年と同じルートを辿っている。笑


↑阿蘇、祖母山、お疲れ様乾杯!

明日は天気が崩れそうなので、小国の鍋ヶ滝を経由し久留米へ向かおうかなど話ながら就寝。

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